天井桟敷の人々

マルセル・カルネ/1945

雨の日は「なんちゃってホームシアター」。電気を消して、カーテンも閉めて、テレビのボリュームも上げれば、「なんちゃってホームシアター」の完成。雨でいい具合に防音してくれているから、ご近所さんへの迷惑も気にしなくていい。もちろんお好みで飲み物も食べ物も持ち込みOK。そして家にあった、いつもは敬遠しがちな上映時間の長い『天井桟敷の人々』を観る。劇中劇を観ているうちに、劇を観て笑ったり泣いたり、桟敷席の人々の反応にまた笑ったり、舞台正面のいい席に座っているブルジョア層の観客にムカついたり。ひとりで映画を観ているはずなのに、まったく寂しくない。むしろ、映画の中の観客たちにのせられて、遠慮することなく感情むき出しで大盛り上がり。最後は感動のフィナーレ。「なんちゃってホームシアター」のくせにチケット代以上の価値はあったはず。本当は映画館でこのような盛り上がれるといいんだけど、お行儀のいい今の日本の映画館ではちょっと無理な話。だからこそ、雨の日の「なんちゃってホームシアター」。(M.K♀)

天井桟敷の人々 HDニューマスター版 [DVD]

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