2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

スーパー戦隊と〈都市〉への欲望

柄谷行人はかつて、村上春樹の小説のようなサブカルチャー文学やジブリ作品をはじめとする日本のアニメーションが世界に届くのは「構造しかないからだ」と短く言い捨てた。世界中で日本独特の文化や「クールジャパン」が評価されているわけでもなんでもなく…

父性の誕生

現在、「○○系男子/女子」という言葉が世間で大量に作られ消費されている。この「○○系」造語のブームのきっかけとなったのはやはり「草食系男子」ではないだろうか。恋愛に消極的で、あまり男らしくない男性(世間一般的に言われる「男子」世代だけではなく20~…

東京公園

青山真治/2011/新宿バルト9、横浜ブルグ13、他全国ロードショー 先日、「たけしのアートビート」でアラーキーこと写真家・荒木経惟に向かって北野武が、アラーキーと小津安二郎はにていると言い放った。アラーキーも恐縮するようなこの発言だが、北野武い…

新メンバー「江口愛実」と「推し面メーカー」の間にはられたAKBのタイトロープ

先日の第3回総選挙の熱狂さめやらぬ中、現在放映されているグリコ「アイスの実」のCMに出演するAKB48が、またしても話題をさらっている。 CMは、プロデューサーの秋元康が「彼女こそ“究極”」と称した研究生の「江口愛実」がメインを飾る内容なのだが、実は…

スリー☆ポイント

山本政志/2011/渋谷ユーロスペース 5月14日〜レイトショー上映私の映画を見ながら意識せずとも浮かんでくる先の展開に対する予測は、ことごとく裏切られてしまった。そもそも『スリー☆ポイント』のチラシに書いてあった「3つの場所、3つのスタイル、3つの世…

パウル・クレー おわらないアトリエ

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東京国立近代美術館/2011年5月31日-7月31日雨の日は家にこもらず「芸術の秋」ならぬ「芸術の雨」なんていうのはいかがだろうか。美術館側もそれを期待してなのか6月に一斉に展示替えが行われ、足を運ぶ価値のありそうな企画展が目白押しなのだ。国立新美術…

アトムの足音が聞こえる

no.【movie】『アトムの足音が聞こえる』(富永昌敬/渋谷ユーロスペース/5月21日〜) アニメで雨が降ればザーッという音がするが、それが本物の雨の音ではないことは雨の日に耳をすませばすぐにわかることだ。アニメに音がついていることなんか当たり前のよう…

HOMESTAR PRO 2nd edition

セガトイズ雨が降ると夜空もみえないし、家にこもってもなんだかパッとしないし……。そんな夜にはコイツの出番。自分の部屋を気軽に本格プラネタリウムにしてくれる。実際に夜空を肉眼でみるより多い、6万個の星を再現。流れ星まで流せたりする。監修は世界一…

ゾンビランド

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no.【DVD】『ゾンビランド』(ルーベン・フライシャー/2009) 雨の日に家でだらだら。映画を観るにしても肩肘を張る必要のない、くだらないけど笑える映画がいい。そこで思いついたのが『ゾンビランド』。この映画のすばらしいところはホラー映画ではないとこ…

明月院

@北鎌倉アジサイをみたいならいざ鎌倉。とりあえず6月の雨の日には積極的にいざ北鎌倉。そこには明月院というアジサイ寺がある。アジサイなんて――と見くびってもらっては困る。そんなことは行ったことのない人間の戯言にすぎない。石段の両脇には背丈ほどあ…

天井桟敷の人々

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マルセル・カルネ/1945雨の日は「なんちゃってホームシアター」。電気を消して、カーテンも閉めて、テレビのボリュームも上げれば、「なんちゃってホームシアター」の完成。雨でいい具合に防音してくれているから、ご近所さんへの迷惑も気にしなくていい。も…

雨に唄えば

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ジーン・ケリー,スタンリー・ドーネン/1952いわずと知れた名作。雨で外に出たくなければ観るといい。これを観ればあなたもジーン・ケリー。傘も持たず、いますぐ雨の中に飛び出して踊りたくなるはず。通行人のしらじらしい目は多少のがまん。だってジーン・…

HEAVY RAIN(ヘビーレイン) ー心の軋むときー

『HEAVY RAIN(ヘビーレイン) ー心の軋むときー』(SCE/PS3/2010)とある小さな街。降りしきる雨の中、主人公はさらわれた息子を救出するために奔走することになるーー。 大人向けに開発された、サイコ・サスペンス・アドベンチャーゲーム。4人いる主人公が全員…

部屋干しムーブアイ MJ-80EX

『部屋干しムーブアイ MJ-80EX』(三菱/2010)洗濯物が乾かない。部屋干ししてはみるものの、生乾きになってしまう、ていうかなんか服がくさい……。梅雨の季節や雨の日に必ず起きる困った問題だ。 そんなときにはコレ。見た目は普通の除湿機なのだが、ただの除…

ヒミズ

『ヒミズ』(古谷実/2001-2003)雨ネタもそろそろ尽きてきたところで、本当に困ってペラペラめくってみたこの『ヒミズ』に雨降りの箇所を偶然見つけたのでレビューする。のだが、うっかり重大なことを忘れていた。雨に関係あろうとなかろうと、この作品は読ん…

ネトゲ廃人

『ネトゲ廃人』(芦崎治/2009)雨の日には部屋にこもってゲームという選択肢もあるが、本書が教えるのはネットオンラインゲーム、通称ネトゲに骨の髄までどっぷりはまってしまうことの恐怖だ。最初は趣味として楽しんでいたはずのネトゲが、徐々にその人の体と…

COZY

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『COZY』(山下達郎/1998)雨の日に部屋にこもって山下達郎を聴くとすれば、12作目のオリジナルアルバム『COZY』をおすすめしたい。軽快なストリングスがさっぱりとした小雨を思い起こさせる「氷のマニキュア」にはじまり、ほどよい湿り気が全編に漂っている。…

ミスト

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『ミスト』(フランク・ダラボン/2007)雨の日こそ気分を上げるために明るい映画を見よう!!子供のころ、私は外で遊べない残念な天気の日に限ってジブリやディズニーなど幸せなアニメーションを鑑賞していた。しかし最近はこうも考えるようになったのだ。鬱々…

アニマルシリーズ

『アニマルシリーズ』(water front)雨の日の傘事情って複雑。急に晴れて置き忘れたり、逆に急に雨が降ってコンビニに駆け込んだり。さらに最近は心ない人が勝手に持って帰っちゃったりするんだから大変。雨だからっていちいちこんな嫌な気持ちになんかなりた…

S.F. sound furniture

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『S.F. sound furniture』(capsule/2004)雨のリズムってなんか軽快。しずくが地面にあたってはねて音楽になる。capsuleの『S.F. sound furniture』はそんな雨音を感じさせる。 収録されているのは近未来や宇宙を思わせる楽しいメロディの10曲。部屋の中を疑…

ミッドナイトコール

『ミッドナイトコール』(田口ランディ/PHP研究所/2000)雨の日は何となく寂しい。 気温が下がるからだろうか、空が陰り街の色が暗くなるからだろうか、それとも単純にひとりで過ごすことが多くなるからだろうか――。 携帯電話が普及した今、その場にいない人と…

松林図屏風

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『松林図屏風』(長谷川等伯/東京国立博物館)日本人には適度な湿度が不可欠だという。これは呼吸器官の形状に由来するらしく、乾燥した地域に住む人々とは異なるらしい。湿度は雨と深く関係する。そのためか、日本画には雨や霧が描かれたものが多くある。 長…

つながり進化論

mixiやTwitterの爆発的な普及によって、人と人との「つながり」が変わろうとしている。本書は、つながりのメディアを現在のみならず過去にまで振り返って考察する一冊。構成は三部に分かれ、第一部でコミュニケーションメディアを技術史的に振り返り、第二部…

昼間から呑む

ノ・ヨンソク/2009/韓/シネマート新宿・六本木にて「男と女と車があれば映画になる」と言ったのは、ジャン=リュック・ゴダールであるが、『昼間から呑む』は「男と女と酒があれば映画になる」とも言えるのだと言わんばかりの映画である。 話なんかあってな…

愛の勝利を ムッソリーニを愛した女

マルコ・ベロッキオ/2009/伊/シネマート新宿・109シネマズMM横浜にて5月28日〜「あなたはひとりでファシズムや国と戦おうとしている。」 と、若き日のムッソリーニの愛人であるイーダは言われる。この映画はまぎれもなく第二次世界大戦に続いていく戦争の話…

文フリに出品!

来る6月12日(日)の文学フリマに、われわれ『NOW PRINTING』0.5号、「特集 雨の日のためのレビュー」を出品することになりました。 ブース番号はエ-35サークル『そつろん!』編集部に委託して、無料配布の予定です。 ただいま鋭意作成中です。みなさん…

シュルレアリスム展 —パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品によるー

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ダリやマグリットらの絵画作品がまず思い浮かびやすいシュルレアリスムだが、その媒体は絵画や彫刻だけでなく、詩、小説、写真、映画、パフォーマンスetc…と、媒体も多種なうえ、表現技法も多彩だ。なかでもデペイズマンという技法が面白い。デペイズマン(dé…

東北関東大震災被害者支援チャリティー・コンサート

「この曲に拍手はしないで頂きたい」そう言って、バッハのG線上のアリアの演奏が始まった。 震災以後、多くのイベントが様々な理由から中止になるなか、ズービン・メータは「困難な状況下でも、音楽は力を発揮できる」という言葉と共に再来日した。彼のよう…

わが星

前評の良さに期待しすぎて……と言った話はよくあるが、『わが星』はそんな前評による大きな期待なんかを軽く凌駕した、大きな感動を私にもたらした。とりあえず、「すごい」の3文字だ。この柴幸男ワールドに飲み込まれた私は、幕が下りて劇場を後にした後も、…

カツラーの妻(おんな)たち

カツラをつけるということ――それは頭髪がさみしくなった男、いわゆる「キテしまった男」にとって人生の一大事だ。その名もずばり『カツラーの秘密 』にて、スポーツライターとカツラー(カツラをつける人)という二足のわらじをカミングアウトした著者小林は…