このブログについて

横浜国立大学 大学院 都市イノベーション学府 文芸メディア創作スタジオで作成しているフリーペーパー『NOW PRINTING』のWEB版です。 各種レビューおよびコラムなどを掲載していきます。本誌の情報も適宜お伝えしていきます。 ご期待ください!

足蹴な映画 『ダーク・シャドウ』(監督ティム・バートン)

盟友であるジョニー・デップ、ミッシェル・ファイファー、エヴァ・グリーンにヘレナ・ボナム=カーター。さらに最近話題のクロエ・グレース・モレッツやガリー・マクグラス。ざっとクレジットを並べるだけで、この映画に出ている面々がどれだけ華やかかとい…

あのカポーが帰ってきた!――『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』

ガイ・リッチー版ホームズの第二弾「シャドウゲーム」では、前作で予告されファンが待ちに待っていた「宿敵との対決」を描いている。 宿敵って、あのモリアーティ教授のことでしょって、は?え、だれそれ? ホームズの宿敵、もちろんそれはメアリー・モース…

そのルールの外へ脱出してほしかった  映画「TIME/タイム」 30点

筆者はいまFaceBookのあるソーシャルゲームにはまっている。こうしたゲームが興味深いのは、「時間」を実際のお金を使って買うことができるところだ。無料でプレイするユーザーが他のユーザーに手伝ってもらったり時間をかけたりしてようやくたどり着くミッ…

ヒミズ

[][[[]]]園子温監督ははやくも震災を映画にとりこんだ。それが『ヒミズ』だ。結果、この映画は今後の被災地のひとつの可能性を描きだしたといえる。この映画は古谷実による同名の漫画(2001−2003年連載)を原作とした映画で、9月に行われたヴェネチア映画祭…

J・エドガー

事件現場のおぞましい惨状を地元州警察が険しい顔をして眺めていると、コーションテープを躊躇なく超えてやってきた“やつら”は、きまってこう言って事件を奪っていく―――「我々はFBIだ。今をもって捜査権は我々が引き継ぐことになる」。映画の中でしかFBIを知…

裸心 ─なぜ彼女たちはAV女優という生き方を選んだのか?─

裸心 なぜ彼女たちはAV女優という生き方を選んだのか?作者: 黒羽幸宏出版社/メーカー: 集英社発売日: 2011/05/23メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 444回この商品を含むブログ (15件) を見る 男性誌でのAV女優のインタビューといえば、「オナニーは週何回…

ぬぐ絵画―日本のヌード 1880-1945

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考えてみれば、裸というのは不思議なものだ。どうせみんなたいしたものがついているわけではないし、似たり寄ったりなのにそれでも隠す。わいせつ物を陳列するってどうなのよ的な法律上の問題もあるが、第一にはやはり「裸は恥ずかしい」から隠すのだ。そし…

ダイアモンドに隠されたもうひとつの「野球」について〜マネー・ボール〜

2011年のプロ野球はソフトバンクホークスの日本一で幕を閉じたが、オフに思わぬ事態が待っていた。巨人の清武ゼネラルマネージャー(以下GM)が、人事権を侵害されたとして親会社である読売新聞の渡辺恒雄主筆を公然と批判したのだ。この件でメディアは大い…

新たな映画作家との出会いに興奮 『べガス』

新しい映画監督との出会いほどワクワクすることはないし、その出会えたばかりの監督の最新作の公開が近日中に控えているなんていう状況は、2011年現在の映画状況からしてみれば希有な幸福で、興奮をよぶ興奮、その歓喜をさけばずにはいられないのである。と…

ステキな金縛り

『ステキな金縛り』を見て、三谷幸喜の腕が落ちていると感じてしまった。彼は現在の日本で唯一〈以前〉の映画を撮ることができることの監督なのに……。 三流弁護士が起訴された男の無実を晴らすために落ち武者の霊に法廷で証言してもらうために奔走する話なの…

だべりが止まらぬ『サウダーヂ』

いま巷の映画ファンで一番の話題作はまちがいなく空族の『サウダーヂ』だろう。あらかたの映画雑誌、新聞各社、テレビやラジオ番組で取り上げられ、多くの人がこの映画に関して発言を残している。そのせいもあってか、ミニシアターの不況が嘆かれているにも…

『モテキ』〜珠玉の「Twitter映画」〜

一年前に空前のモテ期を体験した藤本幸世(森山未來)は、その絶好の機会をふいにしたまま、惨めなセカンド童貞の日々を送っていた。ナタリー編集部への再就職にこぎつけた彼に、Twitterをきっかけに交流をはじめたある「男友だち」とのオフ会をきっかけとし…

悩殺ハムレット 〜「女体シェイクスピアシリーズ」第1弾

やり尽くされているであろう、古典シェウクスピアの『ハムレット』をここまで引き寄せられるもめずらしい。「女体シェイクスピアシリーズ」の第1弾となる劇団・柿喰う客の最新作『悩殺ハムレット』は、女体の文字通り女性だけの現代版『ハムレット』である…

未来はどう創る?−『ハンズ・アップ!』

未来はどう創られるのだろう。 映画では未来をも映すが,実際はその未来はだれかの想像力によって創られた「未来らしき空間」でしかない。よってどんなに巧妙でも,どんなに稚拙でも「未来」はすべて創られた偽物なのである。だからこそ、いかなる「未来」を…

シルバー世代の性愛学

シルバー世代の性愛学 (ベスト新書)作者: 団鬼六出版社/メーカー: ベストセラーズ発売日: 2010/06/09メディア: 新書 クリック: 4回この商品を含むブログ (1件) を見る 団鬼六といえば、官能小説を普段読まない人でさえ名前だけは知っているというSM官能小説…

ワシントン・ナショナルギャラリー展 

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うかうかしているうちに終了間近になってしまった新国立美術館の「ワシントン・ナショナルギャラリー展」に足を運び気づいたことがある。ロートレックはフランス版の写楽かもしれない。というのも、ふたりは共通の言葉によって評価されることが多い。「戯画…

あの子と部屋で観るためのジム・キャリーの三作

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つきあって間もない彼女、もしくはこれからお近づきになりたいと思っている女の子との仲を深めるために、部屋で一緒に映画を観るというのは有効な手段の一つだろう。しかし観る映画のチョイスは重要だ。まさか『ムカデ人間』をみせるわけにもいかない。 そん…

読むものを切り刻む言葉の凶器――大里俊晴『ガセネタの荒野』

砕けたガラス片ののように、ことばたちが突き刺さってくる。ぎざぎざにとんがった、ことばの凶器たちにすっかりやられ、正直もうレビューする元気もない。しかし、なんとか言葉にしよう。 本書はタイトルと同名のバンド、「ガセネタの荒野」の活動の記録だ。…

映画の日の二作〜『コクリコ坂から』と『SUPER8』

先週の映画の日に二作連続で観てきたので、その二作をあえて対置してレビューを書いてみることにする。 一作目は『コクリコ坂から』。いわずとしれたスタジオジブリの宮崎駿の息子、宮崎吾郎がメガホンをとった第二作だ。1963年の横浜を舞台に、ヒロイン松崎…

ムカデ人間

ドイツ郊外の森で行方不明事件が次々と発生する。犯人は、かつてシャム双生児の分離手術で名をはせたヨーゼフ・ハイター博士だった。博士がなぜそんな事件を起こすのか。それは彼の長年の夢に起因する。彼が本当にしたかったのは人間を分けることではなく、…

委員長の性愛コラム Lesson1「あなたのことが好きな人なんてこの世界にいない」

みなさんこんにちは。 このブログで恋愛についてコラムを書かせていただくことになった、委員長と申します。 といいましても、わたしがみなさまより恋愛に秀でているとは思っておりません。 というより――これは後々書いていくことになると思いますが――恋愛に…

新宿にログインしました。

インターネットのサイトにアクセスする際、アカウントを取得しなければならない場合があります。でも最近考えるんですよ、現実の世界においてもどこか馴染みがない場所に行くためにはアカウントが必要なんじゃないかって。特におしゃれな都会なんかはそれが…

super8

監督:J.J.エイブラムス/2011/米 6月24日より全国公開『super8』はスティーブン・スピルバーグ製作、前作に『スタートレック』を撮っているによるJ.J.エイブラムス監督によるSF映画である。少年たちが不可解な列車事故の目撃するところから始まり、ことの真…

スーパー戦隊と〈都市〉への欲望

柄谷行人はかつて、村上春樹の小説のようなサブカルチャー文学やジブリ作品をはじめとする日本のアニメーションが世界に届くのは「構造しかないからだ」と短く言い捨てた。世界中で日本独特の文化や「クールジャパン」が評価されているわけでもなんでもなく…

父性の誕生

現在、「○○系男子/女子」という言葉が世間で大量に作られ消費されている。この「○○系」造語のブームのきっかけとなったのはやはり「草食系男子」ではないだろうか。恋愛に消極的で、あまり男らしくない男性(世間一般的に言われる「男子」世代だけではなく20~…

東京公園

青山真治/2011/新宿バルト9、横浜ブルグ13、他全国ロードショー 先日、「たけしのアートビート」でアラーキーこと写真家・荒木経惟に向かって北野武が、アラーキーと小津安二郎はにていると言い放った。アラーキーも恐縮するようなこの発言だが、北野武い…

新メンバー「江口愛実」と「推し面メーカー」の間にはられたAKBのタイトロープ

先日の第3回総選挙の熱狂さめやらぬ中、現在放映されているグリコ「アイスの実」のCMに出演するAKB48が、またしても話題をさらっている。 CMは、プロデューサーの秋元康が「彼女こそ“究極”」と称した研究生の「江口愛実」がメインを飾る内容なのだが、実は…

スリー☆ポイント

山本政志/2011/渋谷ユーロスペース 5月14日〜レイトショー上映私の映画を見ながら意識せずとも浮かんでくる先の展開に対する予測は、ことごとく裏切られてしまった。そもそも『スリー☆ポイント』のチラシに書いてあった「3つの場所、3つのスタイル、3つの世…

パウル・クレー おわらないアトリエ

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東京国立近代美術館/2011年5月31日-7月31日雨の日は家にこもらず「芸術の秋」ならぬ「芸術の雨」なんていうのはいかがだろうか。美術館側もそれを期待してなのか6月に一斉に展示替えが行われ、足を運ぶ価値のありそうな企画展が目白押しなのだ。国立新美術…