新メンバー「江口愛実」と「推し面メーカー」の間にはられたAKBのタイトロープ
先日の第3回総選挙の熱狂さめやらぬ中、現在放映されているグリコ「アイスの実」のCMに出演するAKB48が、またしても話題をさらっている。
CMは、プロデューサーの秋元康が「彼女こそ“究極”」と称した研究生の「江口愛実」がメインを飾る内容なのだが、実は彼女は実在しない。既存のメンバー6人の顔のパーツをCG合成して作った架空のアイドルだったというのだ。
このことは放映当初からネット上で噂が立っていたが、ついにグリコ公式サイトでネタばらし動画が公開され、彼女の「非実在」が確定した。
これにくわえてグリコのサイトでは、「推し面(おしめん)メーカー」という特設サイトが開設されている。
http://www.icenomi.com/oshimen/index.html
このサイトに訪れたユーザーは、「髪&輪郭」「目&眉」「鼻」「口」の4つのパーツごとに既存のAKBメンバーの顔を組み合わせ、自分好みの「新メンバー」を「江口愛実」のように作ることができる。
ためしに筆者も作ってみた。
http://www.icenomi.com/oshimen/index.html?id=6868
http://www.icenomi.com/oshimen/index.html?id=16724
http://www.icenomi.com/oshimen/index.html?id=102301
動かしてみると不自然でない感じにするのが意外と難しい。できあがりは自分の趣味大爆発という感じで恥ずかしくなってきたがそれはともかく、この「推し面メーカー」というのはいわば、「顔をイジる遊び」である。「江口愛実」のカラクリとこの「顔をイジる遊び」を知ったときに、どこか「ドキッ」としたのは筆者だけだろうか。
美人が群雄割拠する芸能界では、「あの人はイジっているのではないか?」という疑惑が跡を絶たない。いわゆる整形疑惑というやつだ。疑惑が疑惑のままいつまでもくすぶり続けるのは、美容整形をオープンにした女性タレントがほとんどいないから。整形美人に対して多くの日本人は未だに冷淡である。ネット上でも、タレントのデビュー前の写真と現在の写真を比較検証するサイトがあり、人々が「人工の美」に目を光らせていることがよくわかる。個人的には、きれいになったならそれでいいではないかと思う質だが、どうも「ナチュラル」ということへのこだわりは未だ根深く残っている。だからこそ、整形美人の側も人工の美であることをひた隠しにする。
今やアイドルグループの代名詞となっているAKB48メンバーの中にも、整形美人を公言している人は一人もいないだろう。だが彼女らにも当然のように、整形疑惑が巻き起こっている。
彼女らが公表していない以上、「整形美人」であるとはもちろん断言できない。しかし、筆者自身の目と現役の美容外科医を名のる人たちのブログを信じるならば、彼女らはかぎりなく「イジッた」に近い「どちらともいえない」存在だ。
ここで筆者が「ドキッ」とした理由がわかってもらえるのではないだろうか。
おそらく多くの人が「顔をイジる遊び」ということからインスパイアーされるのは、美容整形だろう。なぜAKBは、「顔をイジった」という疑惑の絶えないなかであえて「顔をイジる遊び」を提供したのだろうか。そういう連想をさせてしまう以上、これはものすごくタイトロープな企画ではないだろうか。なぜそこまでして話題を作るのか。
いやむしろ、今彼女らが「顔をイジる遊び」を提供するということに、何かをほのめかす狙いがあったのだろうか。
冒頭で書いたように彼女らには稀代のプロデューサー秋元康がついている。もしかするとこのタイトロープの先に第二、第三の展開が待っているの、かも?(今田祐介)