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あのカポーが帰ってきた!――『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』

ガイ・リッチー版ホームズの第二弾「シャドウゲーム」では、前作で予告されファンが待ちに待っていた「宿敵との対決」を描いている。 宿敵って、あのモリアーティ教授のことでしょって、は?え、だれそれ? ホームズの宿敵、もちろんそれはメアリー・モース…

そのルールの外へ脱出してほしかった  映画「TIME/タイム」 30点

筆者はいまFaceBookのあるソーシャルゲームにはまっている。こうしたゲームが興味深いのは、「時間」を実際のお金を使って買うことができるところだ。無料でプレイするユーザーが他のユーザーに手伝ってもらったり時間をかけたりしてようやくたどり着くミッ…

ヒミズ

[][[[]]]園子温監督ははやくも震災を映画にとりこんだ。それが『ヒミズ』だ。結果、この映画は今後の被災地のひとつの可能性を描きだしたといえる。この映画は古谷実による同名の漫画(2001−2003年連載)を原作とした映画で、9月に行われたヴェネチア映画祭…

J・エドガー

事件現場のおぞましい惨状を地元州警察が険しい顔をして眺めていると、コーションテープを躊躇なく超えてやってきた“やつら”は、きまってこう言って事件を奪っていく―――「我々はFBIだ。今をもって捜査権は我々が引き継ぐことになる」。映画の中でしかFBIを知…

ダイアモンドに隠されたもうひとつの「野球」について〜マネー・ボール〜

2011年のプロ野球はソフトバンクホークスの日本一で幕を閉じたが、オフに思わぬ事態が待っていた。巨人の清武ゼネラルマネージャー(以下GM)が、人事権を侵害されたとして親会社である読売新聞の渡辺恒雄主筆を公然と批判したのだ。この件でメディアは大い…

新たな映画作家との出会いに興奮 『べガス』

新しい映画監督との出会いほどワクワクすることはないし、その出会えたばかりの監督の最新作の公開が近日中に控えているなんていう状況は、2011年現在の映画状況からしてみれば希有な幸福で、興奮をよぶ興奮、その歓喜をさけばずにはいられないのである。と…

ステキな金縛り

『ステキな金縛り』を見て、三谷幸喜の腕が落ちていると感じてしまった。彼は現在の日本で唯一〈以前〉の映画を撮ることができることの監督なのに……。 三流弁護士が起訴された男の無実を晴らすために落ち武者の霊に法廷で証言してもらうために奔走する話なの…

だべりが止まらぬ『サウダーヂ』

いま巷の映画ファンで一番の話題作はまちがいなく空族の『サウダーヂ』だろう。あらかたの映画雑誌、新聞各社、テレビやラジオ番組で取り上げられ、多くの人がこの映画に関して発言を残している。そのせいもあってか、ミニシアターの不況が嘆かれているにも…

『モテキ』〜珠玉の「Twitter映画」〜

一年前に空前のモテ期を体験した藤本幸世(森山未來)は、その絶好の機会をふいにしたまま、惨めなセカンド童貞の日々を送っていた。ナタリー編集部への再就職にこぎつけた彼に、Twitterをきっかけに交流をはじめたある「男友だち」とのオフ会をきっかけとし…

未来はどう創る?−『ハンズ・アップ!』

未来はどう創られるのだろう。 映画では未来をも映すが,実際はその未来はだれかの想像力によって創られた「未来らしき空間」でしかない。よってどんなに巧妙でも,どんなに稚拙でも「未来」はすべて創られた偽物なのである。だからこそ、いかなる「未来」を…

映画の日の二作〜『コクリコ坂から』と『SUPER8』

先週の映画の日に二作連続で観てきたので、その二作をあえて対置してレビューを書いてみることにする。 一作目は『コクリコ坂から』。いわずとしれたスタジオジブリの宮崎駿の息子、宮崎吾郎がメガホンをとった第二作だ。1963年の横浜を舞台に、ヒロイン松崎…

ムカデ人間

ドイツ郊外の森で行方不明事件が次々と発生する。犯人は、かつてシャム双生児の分離手術で名をはせたヨーゼフ・ハイター博士だった。博士がなぜそんな事件を起こすのか。それは彼の長年の夢に起因する。彼が本当にしたかったのは人間を分けることではなく、…

super8

監督:J.J.エイブラムス/2011/米 6月24日より全国公開『super8』はスティーブン・スピルバーグ製作、前作に『スタートレック』を撮っているによるJ.J.エイブラムス監督によるSF映画である。少年たちが不可解な列車事故の目撃するところから始まり、ことの真…

スーパー戦隊と〈都市〉への欲望

柄谷行人はかつて、村上春樹の小説のようなサブカルチャー文学やジブリ作品をはじめとする日本のアニメーションが世界に届くのは「構造しかないからだ」と短く言い捨てた。世界中で日本独特の文化や「クールジャパン」が評価されているわけでもなんでもなく…

東京公園

青山真治/2011/新宿バルト9、横浜ブルグ13、他全国ロードショー 先日、「たけしのアートビート」でアラーキーこと写真家・荒木経惟に向かって北野武が、アラーキーと小津安二郎はにていると言い放った。アラーキーも恐縮するようなこの発言だが、北野武い…

スリー☆ポイント

山本政志/2011/渋谷ユーロスペース 5月14日〜レイトショー上映私の映画を見ながら意識せずとも浮かんでくる先の展開に対する予測は、ことごとく裏切られてしまった。そもそも『スリー☆ポイント』のチラシに書いてあった「3つの場所、3つのスタイル、3つの世…

アトムの足音が聞こえる

no.【movie】『アトムの足音が聞こえる』(富永昌敬/渋谷ユーロスペース/5月21日〜) アニメで雨が降ればザーッという音がするが、それが本物の雨の音ではないことは雨の日に耳をすませばすぐにわかることだ。アニメに音がついていることなんか当たり前のよう…

昼間から呑む

ノ・ヨンソク/2009/韓/シネマート新宿・六本木にて「男と女と車があれば映画になる」と言ったのは、ジャン=リュック・ゴダールであるが、『昼間から呑む』は「男と女と酒があれば映画になる」とも言えるのだと言わんばかりの映画である。 話なんかあってな…

愛の勝利を ムッソリーニを愛した女

マルコ・ベロッキオ/2009/伊/シネマート新宿・109シネマズMM横浜にて5月28日〜「あなたはひとりでファシズムや国と戦おうとしている。」 と、若き日のムッソリーニの愛人であるイーダは言われる。この映画はまぎれもなく第二次世界大戦に続いていく戦争の話…